localweb3 logo
ブロックチェーンで農業の未来を変える|「Metagri研究所」の取り組み thumbnail image
DAO食×NFT

ブロックチェーンで農業の未来を変える|「Metagri研究所」の取り組み

2023/01/172023/10/23Melo.

目次

ブロックチェーンで農業の未来を変える

近年、農業分野でも先端技術が活用されており、IoTやAI、ドローンなどと同じようにブロックチェーン技術も導入されはじめています。本記事では、ブロックチェーンを活用した新しい農業のカタチについて紹介していきます。

1.  「Metagri研究所」とは?


Metagri(メタグリ)研究所は、農業とブロックチェーンを組み合わせた事業モデルを実験するため、株式会社農情人 甲斐雄一郎氏を筆頭として2022年3月にスタートしたコミュニティです。
「Metagri(メタグリ)」とは『農業の常識を超越する=Meta(超越)+Agri(農業)』からの造語であり、「研究所」には失敗を恐れずに新たな社会実験に果敢に取り組む姿勢を大切にしたい、という想いが込められています。

2022年12月現在、300名を超える方々がMetagri研究所のコミュニティに参加しており、「農業×ブロックチェーン」をキーワードに持続可能な農業の実現に向けてDAOの構築を目指しています。これまでに「農業×NFT」の先駆けとなるプロジェクトを複数立ち上げ、農作物の新たな販売方法で農家(生産者)と購入者(消費者)を繋ぐことで、農家の所得向上や持続可能な農業の実現を目指しています。

2. 農業の「現状と課題」

日本の農業が抱える課題を3つあげます。
1つ目は「少子高齢化による農業従事者の減少」です。2018年から29歳以下の新規就農者の割合は10%強と低迷、新規就農者が減少する一方で65歳以上の割合が53%を占めています。(農業従事者は右肩下がりで49歳以下の専業農家は全体の10%ほど)

2つ目は「収益化が困難なこと」です。収支が成り立たず離農する農家たちが多いという現状があります。(就農後10年以内で生計が成り立っていない農家の割合は76%、雇用事業により就農した人のうち離農した割合は40%にものぼる)

3つ目は「市場価格の下落」です。人口減少や食のライフスタイルの変化による影響を受け、国内における生産割合の高い米価の下落が止まりません。(1990年には2万円を超えていた米価は現在1万円台前半で推移)

3. 「農業×ブロックチェーン」の可能性

農業の課題を解決する〝手段″として考えられるブロックチェーンは「情報を暗号化して管理する」技術です。ブロックチェーンで管理運営することで人員を削減することができたり、インターネットを通じて〝価値″のやり取りが可能となることが課題解決の切り札になります。
農業は「きつい・汚い・カッコ悪い」の3Kで儲からない業界であると言われます。そんな農業界を変革するには、3Kを逆転させることが必要です。農業従事者である大人たちが「稼げて、かっこよくて、感動する」農業を楽しんでいたら、若い世代の人たちは憧れを持つはずです。魅力あふれる農業を実現する糸口こそが「ブロックチェーンを活用した農業」です。

Metagri研究所が考える持続可能な農業「FarmFi構想」について紹介します。
FarmFi構想を実現するためには、農作物とセットで販売するNFTを発行して資金調達をする必要があります。それには「農家」「DAO運営者」「出資者」「応援購入者」と4つの役割が必要不可欠です。

▶ 農 家 :環境配慮型の農法で食べる方が感動する農作物を生産して出荷する
▶ DAO運営者 :NFTを発行する仕組みを構築する
▶ 出資者 :NFTを購入して、MetagriDAOの一員となる
▶ 応援購入者 :農家の活動に共感し、おいしい農作物と共に農業版NFTを応援購入して、食べて農業を支える
        ※ 購入したNFTは二次創作として利用し、活動の拡がりにも貢献できる

調達した資金は、MetagriDAOの「トレジャリー・ウォレット」へ暗号資産であるFTを蓄積していきます。FTは、農家の資金需要に応じて貸し付けて災害対策や規模拡大につなげることが主な目的です。貸し付けの実行決議は、DAO内で決定します。
〝持続可能な農業″実現に向けた新たなプロジェクトの立ち上げや貢献者への還元の利益分配もNFTホルダーの議決権行使により意思決定していきます。この仕組みにより、世界中から資金を集めて持続可能な農業を実現していく、「FarmFi構想」の目指す理想的な姿は、誰もが持続可能な農業に賛同している社会の樹立を目指しています。

■ 「Metagri DAO」
プロジェクトの基盤であり、農家とパートナーが相互に支援する仕組みの実現を目指すDAOコミュニティです。農家、Webデベロッパー、メタバース空間デザイナー、ブロックチェーン技術研究家など、各人が得意とする領域で役割を担い、既存の枠にとらわれない発想でアイデアの創出やディスカッションが行われています。
「仲間とともに、ある目的のために情熱を燃やし、遊びながら取り組むこと」が何よりも重要であると考えているDAOコミュニティです。

■ 農業DeFi=FarmFi
DeFi(DecentralizedFinance)の特徴は管理者が不在であるため手数料が安くなる点です。送金手続きが属人化しないため、公平な取引が24時間いつでも実現可能となります。
農業は初期投資(種や苗の植え付け、農業資材への投資)から投資回収までに時間を要します。また、天候や病害虫の影響で不作になるリスクも抱えており、不確実性の高いビジネスです。ハイリスクな農業に新規就農者が挑戦しやすい風土を整えることが「農業×DeFi」のサービス設計に求められます。
FarmFiでは、プロジェクトのNFTや農作物の売上をトレジャリーウォレットに集約し、農業従事者が必要に応じて資金を借りることができるような仕組みを考えています。
Metagri DAOとしては、デジタルウォレット普及率と利用の煩雑さが解消されることで持続可能な農業に近づくと考え、まずは短期的な「農業DeFi」としてNFTを活用したサービスを展開していきます。

■ NFTを活用した資金調達、付加価値の創造
NFTを掛け合わせた資金調達として「農作物のサブスクや年間パスポート」のような仕組みを活用することが可能です。事前に資金調達をする方法としては、提供する農作物をもとに「収穫可能時期」と「出荷頻度」を決め、顧客あたりへ出荷する回数から「目標とする年間売上」を算出します。提供する「対象顧客数」が決まれば、同じ数のNFT発行に向けてデザイン等の準備を行い、Openseaなどのプラットフォームに出品して販売します。この一連の流れが実現できれば、作付けの段階から資金を調達することが可能です。
NFTの付加価値としてMetagri研究所が発行するすべてのNFTは、半永久的に得られる特典がいくつか提供されます。

【特典1】
限定コミュニティの参加
NFTホルダーだけが参加できる特別なチャンネルを用意しており、クローズドな場でメンバーとの交流が可能となります。

【特典2】
実験プロジェクトのメンバーに招待
Metagri研究所が実施する実験プロジェクトの一員になることが可能です。実験の企画から始まり、生産者との協力、実験に最適な技術選定、関連サービスの活用方法、webサイト作成、マーケティングなどで知識や経験を向上できます。

【特典3】
オンライン勉強会への無料参加
「農業×ブロックチェーン」に興味がある方やweb3初心者の方でもじっくり学べるオンライン勉強会を毎月1回実施しています。毎回テーマを変えながらweb3の基本から活用事例、実験で得たノウハウなどを共有します。

【特典4】
アローリストへの早期登録
新プロジェクトなどのNFTをお得な価格でいち早く取得するために優先購入権であるアローリストの登録が可能です。フリーミントや半額購入券など異なる配布方法や、コミュニティへの貢献度に応じた数量設定などを検討しています。

■ メタバース空間「農業メタマルシェ」

メタマルシェ構想の実現に向けて、cluster(クラスター)を使用して農業メタバース空間を立ち上げています。メタバース上で農地情報を登録し、ボタン一つで農園に移動できる、そんな未来をメタマルシェ構想では描いています。このメタバース空間では農家がアバターを立てて広告を掲げることも目指しています。

 

4. 実施プロジェクトの紹介


■ スイカNFT『MetagriLaboSuicaCollection(略称:MLSC)』
生産者との協働プロジェクト第1弾として、2022年4月に「スイカNFTプロジェクト」を立ち上げ、熊本県のしまだスイカ農園と20体限定をジェネラティブNFTとして発行。スイカとNFTのセット販売のため、NFTを購入した方へ実際にスイカを届けています。

生産者:しまだスイカ農園(熊本県)
販売数:20点※全て完売(2022年8月10日でスイカとのセット販売は終了)
使用チェーン:polygon

■ トマトNFT『MetagriLaboTomatoCollection(略称:MLTC)』
創業200年のトマト農家梶原耕藝と共に歩むプロジェクト。MLTCは〝投機目的″ではなく、〝応援の証″としてのジェネラティブNFTとして発行しました。こちらもスイカNFTと同様のセット販売のため、保有数によりトマトの苗の命名権や梶原耕藝の厳選トマト、オリジナルアバター制作、ドローンによるリモート観光農園への招待などの特典を提供しています。過去に前例のなかった農業とNFTを掛け合わせたクラウドファンディングにおいて目標金額30万円も達成しました。

生産者:梶原耕藝(熊本県)
販売数:54点※全て完売(2022年9月10日でトマトとのセット販売は終了)
使用チェーン:ETH

■ シャインマスカットNFT『MetagriLaboMuscatCollection(略称:MLMC)』
1988年生まれのシャインマスカットは2022年に34周年を迎えたことから、記念として世界に一つだけのシャインマスカットNFTを34点限定で発行。ヨーロッパブドウのように香り高いシャインマスカットは「ぶどうの女王」と呼ばれることから「女王様」をテーマにシャインマスカットの生育過程を表現したNFTを発行しています。大粒なシャインマスカットのお届けや体験農園チケットNFTのプレゼントキャンペーンなども実施しました。

生産者:フルプロ農園(長野県)
販売数:34点※全て完売(2022年9月30日でシャインマスカットとのセット販売は終了)
使用チェーン:ETH

■ おもちNFT『MetagriLaboOmochiCollection(略称:MLOC)』
こちらはMetagri研究所のNFT発行100点突破の記念として、NFTホルダーへの還元企画「餅つきNFTプロジェクト」です。Metagri研究所のメンバーでもあり、京都でお米とお餅を生産する野木源とのコラボ企画。お餅をモチーフとしたジェネラティブNFTを111点発行しました。

生産者:野木源(京都府)
販売数:111点※全て完売
使用チェーン:ETH

■ ナカジマみかんNFT
人口減と高齢化の課題を抱える愛媛の離島「中島」において、Metagri研究所が初となる地方創生×NFTのプロジェクトです。島の特産物である「ナカジマみかん」とNFTアート「ナカジマみかんNFT」を掛け合わせることで、中島を知らない人たちにとって、中島を知るきっかけを作ります。今後の島の持続的発展に貢献できるコミュニティ作りとして、Discordによるコミュニティ運営やツイッター運用支援はもちろん、みかんNFTの発行支援により参画しています。

ナカジマみかんNFTプロジェクト概要(開催期間:2022年12月上旬~2023年3月下旬)
プレスリリース

(NFTの買い方は以下の記事をご覧ください。)

loading...

5. メンバーの想い

プロジェクトを実施していくにあたり、生産者については「新たな農業の形に可能性を感じる方」「投機や投資ではないNFTの活用に興味、関心がある方」と協同したいと甲斐氏は考えています。Web3界隈の情報はアップデートされるのがとても速いため自ら学ぶ意欲があり、前向きに行動できる生産者と繋がること、そんな生産者を一人でも多く増やしたいと甲斐氏は考えています。

「農業×NFT」の第一弾プロジェクトである『スイカNFT』を発売した、しまだスイカ農園の島田氏は、Metagri研究所に参加して「農業に対する意識が変わった」と言います。
献身的なメンバーからの心強いアイデアやアドバイスが励みになり、孤独から一体感を感じることができた。今までは「やらされ感、嫌々感」を感じていたが「メンバーのため、買ってくれる人のため」と思うようになった、と話します。また、自分が設定した値段で販売ができることから、品質管理が行き届き、収益アップにも繋がったようです。(農協、市場は手数料負担が多い。)
島田氏はMetagri研究所の主要メンバーとして活躍の場を広げています。

6. Metagri研究所のこれから

■ 目指す世界観
・Propose(存在意義)生産する農業から創造する農業へ
・Mission(Purpose&Vision実現のために達成すること)「農業×NFT」の事業づくりで想い
 をつなぐ
・Vision(成し遂げたい世界や未来)個人同士の繋がりで共存社会の実現
・Values(大切にする価値観や信条)「個」の協力体制により、今までにない世界を切り開
   く

■ 今後のプロジェクト
農作物のラインアップを拡充します。リンゴ、イチゴ、メロン、ブドウ、マンゴー、コーヒーなど、あらゆる農作物にブロックチェーンを掛け合わせて持続可能な農業を実現させ、各地の地方創生に繋げていきます。

■ DAO内サービスの拡充
・Metagti研究所内のイベント(実験企画、講演企画など)
・農業でインセンティブを得られるfarmtoearnモデル
・NFTによる農業支援プラットフォーム
・NFTホルダー限定の「農業×ワーケーション」の企画と運営
・NFTの2次流通、3次流通による収益化システム

Metagri研究所Webサイト

7. NFTの買い方

NFTの買い方は以下をご確認ください。

詳しい方法はこちら

loading...


Melo.

平凡なサラリーマンがブロックチェーンやAIを学びながら社会問題の解決に向けて邁進中。現在は「化学物質」や「電磁波」などの過敏症に苦しむ方々と共にDiscoadにてコミュニティを運営してます。自然の大切さ、地方の素晴らしさを伝えていきたいです。

カテゴリー

  • メタバース
  • ニュース
  • 論考
  • NFT
  • DAO
  • HOW TO
  • その他

タグ

NFTアイドルRWAふるさと納税NFT食×NFT初心者の方向け

執筆者

へいきょTakuたこやきmitsuiモリMelo.MASAKENNYTAKUMAlocalweb3運営

人気の記事

コインチェックの口座開設の方法!超初心者でも簡単なスムーズな進め方 thumbnail image

コインチェックの口座開設の方法!超初心者でも簡単なスムーズな進め方

「ふるさと納税×NFT」を捉え直す thumbnail image

「ふるさと納税×NFT」を捉え直す

【ふるさと納税×NFT】2023年に注目すべき返礼品TOP8! thumbnail image

【ふるさと納税×NFT】2023年に注目すべき返礼品TOP8!

【寺DAOとは?】その背景や目的・技術をシンプルに解説【地方創生事業】 thumbnail image

【寺DAOとは?】その背景や目的・技術をシンプルに解説【地方創生事業】

localweb3 logo

© 2023 localweb3. All rights reserved

Twitter
Privacy Policyお問い合わせ

INFOS

あるやうむ Web3研究所